第5回『このラノ』大賞 特別選考委員 栗山千明さん選評

特別選考委員 栗山千明

栗山千明

栗山千明賞 『【急募】賢者一名(勤務時間は応相談)勇者を送り迎えするだけのカンタンなお仕事です』 加藤雅利
(応募時タイトル:『勇者は口数がそんなに多くない傾向にあるのか』)

ゲームも大好きな私は、この作品のゲームような設定と高校生活が織り交ぜられている設定が面白かったです。キャラクター達がそれぞれ悩みを抱えていて、どこか影があり興味がそそられました。テンポが良く軽快に進む中で、主人公とヒロイン・ミカゼの哲学的な会話が印象的です。運命を受け入れ直向きに戦うミカゼが素敵でした。


最優秀賞『着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活』 はまだ語録
(応募時タイトル:『ロリコンするウレタン・ボア生地製熊のぬいぐるみ』)

どうして、このような状況が起きているのか?という謎が府に落ちる気持ち良さがありました。それはメインキャラクターの心情がよく描かれているからだと思います。私は普段ラノベを読むとヒロインに惹かれる事が多いんですが、妹達への対応から主人公も含め皆が素敵だと感じる作品で、ホッとするエピローグまで楽しめました。1つの物事を色んな角度から見れるようなお話で、読みごたえがありました。

今回2作品とも生まれ持った特殊な能力を持つ勇者や魔術師のストーリーで、読み始めは似てるのかな?と思いましたが、やはり作家さんによって描きかたが全く違うのだなと思いました。