第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『黄昏の最終理論』 香神蝉命

 《宇宙超越理論》を発見した人類最高の頭脳と呼ばれる御堂龍彦。その息子である、御堂世弥丸を中心に、世弥丸と同じ演劇部の独覚アラタや、担任である天道祐二など、彼の周囲の人間に起こる出来事を描くことで、徐々にこの世界の秘密が明かされていく。

評価コメント

 初めは学園祭の公演に向けて奮闘する演劇部の姿を描いた青春小説かと思ったのですが、読み進めていく内に思いもよらぬ方向に話が進んでいくので、大いに驚かされました。宇宙レベルの理論、《宇宙超越理論》から近所の怪しげな宗教施設《無限堂》、あるいは公園に住むちょっとおかしな人など、大小様々なガジェットを用意しながら、終盤でこれらをひとつの答えにまとめあげる構成が圧巻でした。また章ごとに視点となる人物や時間軸を大胆にシャッフルさせるなどの技量の高さも垣間見え、大きなインパクトを残す強烈な作品でした。

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