第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『恋色ゴースト』 喜多南

 高校1年生の結城クロは、幽霊が見えるという特異体質を持っていた。ある日クロは元クラスメイトで幽霊となった長谷川紫音と教室で再会する。地上を彷徨う彼女を成仏させようとするクロだが、紫音はクロに、自分を生き返らせて欲しいと頼むのだった。

評価コメント

 様々な幽霊たちと出会い、彼らの望みを叶えて成仏させていく中でクロと紫音が徐々に心を寄せていく様子が丁寧に描写されているところがとても良かった。クロと同じように幽霊が見える3人の姉たちを含め、紫音とクロそれぞれに話のスポットを当てながら、優しく切ない雰囲気を作り上げています。物語構成にも余分なものがなく、終盤までその雰囲気を壊すことなくクライマックスまであっという間に読み進めることができました。伏線の回収も見事で、物語の最後に待ち受けていた結末には思わず涙がこぼれました。

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