第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『うたたね、神話を一緒に遊ぼう』 六角七号

 学園の女理事長から娘である雨多貴音の監視を命じられた高校生の葉限普林治。他人の悩みを神話の形を借りて具現化してしまう彼女の力を制御するため、普林治は彼女に友人として近づく。しかし少しずつ親密になっていき、自分の欺瞞に悩む。やがて、その秘密がバレてしまい、彼女の力が暴走を始めてしまう。

評価コメント

 心の悩みが世界に異変を巻き起こすヒロインと、それを救おうとする主人公――というオーソドックスな構図ながら、主人公をはじめとした登場人物たちの内面がきちんと掘り下げられ、かつ、親との確執や教室でのいじめなどのエピソードもしっかり描かれた異色の青春小説に仕上がっています。自分の文体をはっきり掴んでいるため、今後の成長が期待されます。全体的にシリアスな中で熱海という舞台への愛憎入り交じった描写がユーモアとして機能し、異色の地元密着型ラノベとして確立されていました。

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