第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『僕と五人のお嬢さま』 茜森トーマ

 少年執事が仕えることになったお嬢様は、実は五重人格者。ころころと変わる人格に振りまわされながらも、少年は女医の依頼で他の人格をお嬢様の主人格に統合しようと奮闘する。しかし、消えるのを嫌がる人格のひとつが主人格のトラウマを刺激し、これを封じ込めてしまおうとする。そのなかで主人公は、お嬢様が五重人格になった原因が自分の過去にあると知り……。

評価コメント

 多重人格のお嬢様に仕えることになった執事――という設定と、個性豊かなヒロインたちにあれこれふりまわされる様がおもしろかったです。インパクト重視に見えて、人格それぞれの内面や、執事の仕事についてもきちんと描写されているので、執事ものの楽しさが損なわれていません。物語の構造もとてもよくまとまっており、ヒロインの多重人格の原因が明かにされることですべてが解決へと向かっていく……という流れも非常に明確で爽快でした。

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