第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『道連れ奇譚 ~植松桂の場合~』 桐島京介

 子供のころから死神が見える青年・植松桂は、大切な人々を次々と亡くし、自らも世間から死神呼ばわりされている。すっかり世捨て人になってしまった彼の唯一の家族は、義妹の桜。その桜が、何者かによって殺されてしまい……。

評価コメント

 一人称の語りが持つ、主人公の視野の外に何があるのかわからない、という性質を実によく生かした作品でした。スーパーナチュラルな要素が絡んで忌むべき人死にが出るという点、主人公が静かに狂っていくという点から言えばホラーなのですが、ただひと言でホラー小説と言ってしまうのはもったいないジャンル分類不能な豊かな手触りがあります。特にユーモラスなキャラクター造形には非凡なセンスを感じさせられました。

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