第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『魔甲炎機 ファルセゴ』 中島英人

 強力な魔法を使える亜人(魔人)。彼らが暮らす異世界で、重罪人を封じる牢獄が襲撃された。牢獄を設計した侯爵ベリスが、自作の巨大生体ゴーレム・ファルセゴを駆って鎮圧するが、首謀者と思しき囚人デーテが人間界へ逃亡、ベリスも後を追う。デーテたちによる地球破壊計画を阻止するため、現地の少女・千律(せんり)に協力を要請するベリスだが、頑なに心を閉ざす彼女に断られ……。

評価コメント

 主人公ベリスのキャラクターがよい。最初は途中交代する初代主人公かと思ったくらいだし、一般的な物語なら脇役の変人博士枠あたりに据えられそうな性格と物言いですが、情に厚く(熱く)心優しい好漢で、読み進めるほどに好きになっていきました。千律の頑なさも理由がわかればよく理解できる心情で、感情移入しやすいし、物語に本格的に参入してからのかっこよさも素敵です。性格や行動原理や能力が生まれた最初にほぼ決定しているという亜人の設定が興味深く、知恵と努力のベリスと才能のデーテとの対立構造を盛り上げ、最終盤で明かされるデーテの様々な謎とも密接に関わっていておもしろかった。魔法プラス巨大メカによるアクションもアイデアが豊富で燃えました。

一覧に戻る