第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『絶望的に迷子』 瀬戸うつみ

 文化祭実行委員に選ばれた主人公は、学級委員長の「委員長氏」、無口で大人しい「小原」とともに、中学時代最後のイベントへ向けて準備を進めていた。そのなかで、買い出しに出て迷った「小原」を探すうち、彼女の特殊能力を知ってしまう。

評価コメント

 主人公の「俺」、才色兼備の「委員長氏」、そして物静かな少女「小原」。物語の中心となる魅力的な3人のキャラクターが、個性的ながらも等身大の中学生としてのリアリティを持ち、生き生きと描かれています。進路などで心揺れる、思春期真っ只中にある彼ら彼女たちの考えや行動は、多くの人の共感を呼べそうです。作品のテーマを決して説教臭く伝えないところにも、技術的な巧みさがみてとれます。読後感も爽やかで、筆者の実力に高い将来性を感じました。

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