第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『ラブベクトル』　藤波智

　元彼で幼馴染の比衣呂に未練を感じながらも、クラスメイトの曾月が気になる羽波子。『ラブベクトル』という恋愛が成就するというサイトの噂を聞いた彼女は、メールを送ってみる。すると、『ラブベクトル』の管理人が羽波子に「協力する」と接触してきた。羽波子にとって、新たな一歩が踏み出されようとしていた。

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評価コメント

　恋愛体質な主人公、雑誌モデルの幼馴染、女子グループのリーダーなど、複雑で閉塞的な現代の高校生の姿がリアルに描かれ、引き込まれます。しかし表面的な登場人物の設定はこの作品の魅力の一部であって、本当は普遍的でしっかりとした友情・家族愛・恋愛という“人への想い”がこの作品のテーマとなっています。「ラブベクトル」という人から発せられる感情のベクトルもおもしろい設定です。単純なアイデアではありますが効果的に使用されているので、主人公や曾月のベクトルの変化には「なるほど」と納得させられます。

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