第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『神様の死角につくった楽園』 武藤暁

 かつて善良な人間だったヒトリは、紆余曲折の末に死神となった。そんなヒトリは、彫刻家のホコロビのもとにつきまとい、彼の周囲に介入して悪影響を及ぼし、彼が知らぬ間に苦難に陥れていく。

評価コメント

 とても切なく、読んだ後いろいろ考えさせられ、尾を引くおとぎ話でした。「みんなが幸せになりました」という物語ではなく、むしろ端から見ると、どれ1つとして幸せな終わり方がないあたりは、ずいぶんと思い切った描き方ですが、全体を通してみるとこれが効果的に働いています。 また、作品の話中話の内容が妙に世間ズレしているのも、おとぎ話としての体裁が整っているだけに、ミスマッチ感覚が楽しめました。

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