第2回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『魔甲炎機 ファルセゴ』 中島英人


評価コメント(1)

 読み始めはおっさんが主人公なのでどうなることかと思いましたが、確かに少年が主人公では出せないひょうひょうとした軽さと、長い年月を過ごしてきた重みという2つの相反するものを感じとることができました。読み終えたとき「これがベストだったのだ」と思いました。ファルセゴを使ったゴーレム同士によるバトルは、ロボットアクションっぽく熱かったです。

評価コメント(2)

 この作品の魅力は何と言っても主人公であるベリスというキャラクターにあります。真っ赤なコートに片眼鏡を装着し尊大な口調で話す彼の姿は、うさんくさい要素だらけですが、物語が進むにつれ彼が優しく最後まで諦めない熱い男であることが明らかになっていきます。こうした彼のキャラクターは良い意味で主人公らしくないので、新鮮な印象を持って読むことができました。また、冒頭の巨大ゴーレム同士の戦闘が重厚感を持ってしっかりとした筆致で書かれているように、全体を通して確かな筆力があります。悪魔の設定やその社会の設定も充分練りこまれているため、ラストで明らかにされる悪魔が人間を保護しなければいけない理由には、納得と驚きの両方を味わうことができました。キャラクターからストーリー、設定にいたるまで大変完成度の高い作品と言えます。


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