第2回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『撃ち抜けないのは天使と破片』 深沢仁


評価コメント(1)

 クールで不可思議な存在であるフィリップ・リーダスという主人公をよく表した文体に引き込まれます。そしてそのタフでストイックで、孤独なハードボイルドさに魅せられてしまいました。殴られても銃で撃たれても平気で、逆に襲撃者が重傷を負わないかと考える、常に余裕をもった振る舞いは無敵のヒーローそのものです。さらに信じられない美貌を持ち、女性にモテモテとなれば憬れないわけがありません。面倒そうな素振りをみせながらも、ギャングに追われる少女を放っておけない優しさもいい。ストーリーはシンプルですが、語られるフィリップの過去や不思議な能力で非凡な作品となっています。

評価コメント(2)

 起承転結、伏線、キャラクターのエピソード挿入といった、物語構成がズバ抜けてうまい。舞台設定や台詞など洋画を彷彿とさせるのもので、なかでも会話のやりとりはシャレがきいてセンスが感じられます。主人公のフィリップはダークヒーローとしての魅力十分で、その体質や生い立ちといった設定がおもしろく描かれています。エンタテインメントを意識した無駄がなく読者を飽きさせない物語構成と、読みやすく優れた文章力。その両方を併せ持ち、とても高い将来性を感じる作品でした。


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