第2回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『森と竜と炎の物語』 天沢ノエル


評価コメント(1)

 森の守護者であるジュキに焦点を当て、「これでもか」と描いている点を評価しました。1本筋の通った話作りができています。守護者としては森を守らなければならない、けれど自由になりたいという思いも捨てきれない…。この2つの思いの間で葛藤するジュキの姿を周りの者たちからの視線を通して浮かび上がらせるスタイルが非常に効果的でした。特に、森の守護者であるペロバスがジュキの姿に期待する部分は、一筋縄ではいかない心模様の複雑さが表れていてグッときました。

評価コメント(2)

 非常によくできたファンタジー作品です。ありがちなものではなく巨大な密林とそこにすむ民族が主人公になっており、新しさがあります。文章も格調高い雰囲気と読みやすさのバランスがよくとれています。異世界のイメージがわきやすく、さらに戦闘シーンにはスピード感があり、物語の構成も隙がありません。森に住む種族と平地に住む種族の抗争を背景に、多様な登場人物を生き生きと描写していますが、1人の青年が守護者という押しつけられた役目を捨て1人の人間として自立するまでの物語が、一本の軸としてしっかり貫かれているので、散漫な印象はありません。


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