第2回『このラノ』大賞 受賞作品詳細

第2回『このラノ』大賞 / 大賞

『モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)』谷 春慶(たに・はるよし)

(応募時タイトル:「ウーマナイズ・ジェネレーター」)

作者プロフィール
軍神上杉謙信公が治めたお米の国・越後の春日山城下で生を受けました。幼い頃は「第一義」を胸に刻んで生きていましたが、今では異世界からやってきた野武士が胸中に住み着き、幸せそうな人たちを見ると「レッツ乱捕りオール!」と叫びそうになります。

あらすじ

 砕月、初体験は?「3P希望!」
 将来の夢は?「もちろん、アットホームなハーレム!」
 ……お願いだから死んでくれない?「君のためなら死ねるよ」――
揺りかごから墓場まで種族の壁さえ乗り越えて、オートマティックに女を口説きまくるビョーキ持ち・望月砕月。 静かに生きていきたい本心とは裏腹に、アンコントロールなビョーキのせいでモテモテすぎて日常が修羅場!
 その上、謎の美少女・タマまで口説き、世界を救うバグ退治に巻き込まれてしまう! ――呼吸するように口説き、口説きながら戦う男・砕月の明日はどっちだ!  こんな奴に世界は救えるのか!! 第2回『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞作登場!

受賞コメント

はじめまして、谷春慶と申します。この度は第二回『このライトノベルがすごい!大賞』の大賞に選んでいただき、まことにありがとうございます。 第一回で落選した際の評価シートに書かれたアドバイスがなかったなら、今回の受賞は無かったと思います。 いろいろな方々に足を向けて眠れません。本当にありがとうございます。
このスタートラインを汚さないよう、とにかく面白い物語を語っていけるように粉骨砕身していく所存であります。
さて、話は変わりますが、私、妄想が大好きです。世界を救うのも、かわいい女の子といちゃいちゃするのもお手のものです。三ラウンド、いえ三秒で魔王を倒せます。押し倒した魔王なら、今、私の横で眠ってます。よく見れば、ただのヤギですが天使のような寝顔です。
 最近は熱海を牛耳る裏温泉組合と時空の宝珠をめぐる事件に巻き込まれていました。 いやはや、地方単位でも世界は平和にならず、私の活躍を待ってるわけですな。 行けますよ、どこにだって。書きますよ、なんだって。
 そうやって自分の妄想世界に読者様を連れていけるカタリベになりたいと思っています。 そして、可能ならカタリながら野垂れ死にたいと思います。

最終選考委員選評

勝木弘喜(ライトノベル・フェスティバル初代実行委員長)
極楽トンボ(評論家、HP「まいじゃー推進委員会!」管理人)
タニグチリウイチ(書評家)
工藤淳(「まんが王八王子店」小説担当)
川崎拓己(「コミックとらのあな千葉店」店長)
特別選考委員栗山千明さん選評はこちら


勝木弘喜(ライトノベル・フェスティバル初代実行委員長)

ライトノベルにも流行がありますが、本作の文章テンポの良さ、セリフまわしの上手さはまさに今旬という感じです。女の子を己の意思と関係なく病的に口説いてしまうという主人公。いきなり三角関係の修羅場から始まるそのモテモテっぷりから、よくあるオチモノギャルゲーパターンかと思いきや、まさかのバトル展開に仰天です。さらに女の子たちがヤンデレ進化するというのは、痛気持ちいいとでもいうべき面白さ。美少女、バトル、モテモテの主人公、ライトノベルの楽しさ満載です。


極楽トンボ(評論家、HP「まいじゃー推進委員会!」管理人)

むやみにもてる主人公、逆にひたすら女好きの主人公はよく見かけるが、女好きを1つの病気として設定した点は斬新。この設定のおかげで、主人公がどんなに歯の浮く台詞をいっても、何股かけても「まあ病気だし」の一言で片付いてしまうのはすばらしい。ここまで女性重視の姿勢を貫かれたら内心がわかっている読者でも主人公に惚れてしまう! 修羅場など、女の子が感情的になった時のキレ具合がうまく描写できている。あまりにリアルだと読む方も引いてしまうが、絶妙な部分で少しソフトになっている。またラブコメとして生命線とも言える、テンポよく次から次にトラブルが起こるノリはとても上手い。

タニグチリウイチ(書評家)

あらゆる美少女からモテまくるという、男子にとってのひとつの理想であり、ライトノベルでも王道となっている設定を持ちながら、魔法やフェロモン、超能力といった要素を使わず、当人に備わったある種の“病”に理由を求めているため、モテ具合に妙な説得力がある。なおかつ“病”にもしっかりとした原因が設けられていて、作品世界の底を固いものにしている。いったんは嘘つきだと嫌われながらも、その正直さ、心根の寂しさに魅せられて、美少女たちがなびいていくという展開に、世のモテない男の子たちは大いに学ぶべきだ。

工藤淳(「まんが王八王子店」小説担当)

今時分「ライトノベルとはなんぞや」と問われたならばこれこそが『ライトノベル』といっても過言じゃないくらいの作品でした。初めて読んだ時に、「かわいいイラストつければ、このまま売ってもいいんじゃない?」とおもったくらいです。今の流行りを全部つめ込むとこんな感じでしょうか?それでも、おもしろいんだから今ならこれが大賞でしょう。 作者はこの作品以外にも賞に応募しているようなので、別ジャンルの作品も期待しています。様々なジャンルを書いて色々な作品を読ませていただきたいです。

川崎拓己(「コミックとらのあな千葉店」店長)

タイトルからは、どのような作品なのか想像がつきませんでしたが、読んでみると面白い! ストーリー展開のテンポが良く、過去との話が交互に持ちだされ、非常に良く纏まっていました。
 また、主人公のビョーキの設定が非常に面白く、また主人公を取り巻く各キャラクターの個性や性格設定も良く考えられてあり、感情移入しやすくて読みやすいライトノベルでした。次巻以降の話がどうなっていくのか今から気になっています。