大賞賞金500万円、金賞200万円、優秀賞100万円! 第5回『このライトノベルがすごい!』大賞選考結果発表!
第2回『このラノ』大賞 受賞作品詳細
第2回『このラノ』大賞 / 大賞
『R.I.P. 天使は鏡と弾丸を抱く』深沢 仁(ふかさわ・じん)
(応募時タイトル:『撃ち抜けないのは天使と破片』)作者プロフィール
都内在住。だいたいひとり。音楽を聴きながら本を読んで、コーヒーを飲みながら映画を観て、焼きたてのパンを探してさんぽをする日々の繰りかえし。もの忘れが激しくてひねくれた、根っこのない草。夢はいつか放浪の旅にでること。あらすじ
自らに向けられた敵意を、相手に反射させる能力を持つフィリップ・リーダスは、ふとしたことから家族思いの少女アンジェリーナ・レインと出会う。行きがかり上仕方なく襲撃者から彼女を助けたフィリップだったが、それはより大きな災難への序章でしかなかった! 次々と襲い掛かる刺客からアンジェリーナを守り切れるか? そして、最後に彼らを待ち受けるものとは――。タフでクールな新たなるダークヒーローの、戦いの幕がいま開ける! 第2回『このライトノベルがすごい!大賞』優秀賞作品受賞コメント
優秀賞をいただいた深沢仁です。こんにちは。いままで、わりとたくさんの物語を綴ってきましたが、今回受賞した話はいろいろな意味でイレギュラーなものです。いつも通りの話をとことこ書いていたとき、気まぐれに正反対の話を書きたくなって、これまでやったことのない内容に手を出しました。書いてるうちに気持ちよくなって、長編小説と呼べる長さまで書いてしまい、せっかくだから外に出る機会をあげようと思って公募に出しました。そして今日にいたります。いつか届くはずだと信じてやってきましたが、こんなに早く届くとは思っていませんでした。望外の幸福です。ありがとうございます。物語はすでに深沢の手を離れましたので、あとはもう、彼らがなるべく遠くに行けることを願うのみです。あまり運がよくなさそうな奴が主人公ですので、応援していただけたら助かります。最後に、すでに深沢を知っている方、今回初めて出会えた方、すべての方に、心からの感謝を。これからもお付き合いいただけたら幸いです。最終選考委員選評
→ 勝木弘喜(ライトノベル・フェスティバル初代実行委員長)→ 極楽トンボ(評論家、HP「まいじゃー推進委員会!」管理人)
→ タニグチリウイチ(書評家)
→ 工藤淳(「まんが王八王子店」小説担当)
→ 川崎拓己(「コミックとらのあな千葉店」店長)
→ 特別選考委員栗山千明さん選評はこちら
勝木弘喜(ライトノベル・フェスティバル初代実行委員長)
主人公フィリップ・リーダスのタフさ格好良さはハードボイルドど真ん中。なんだかんだいいながら困っている少女を見捨てられないのもハードボイルドしています。両親に見放された逆境にも負けず、誘拐された妹を助けようとする健気なヒロイン。数では圧倒的に不利なギャングたちとの銃撃戦。王道中の王道のストーリーなのですが、それだけに力強い骨太の面白さがあります。映画のように粋なフィリップのセリフに酔わされて、最後までノンストップで読んでしまいました。極楽トンボ(評論家、HP「まいじゃー推進委員会!」管理人)
形としては一人称だが、語り口がハードボイルド調で今の主流のライトノベルと少し違うのでそこが目を惹く。物語全体にハードボイルドが漂いこの作品ならではの雰囲気を出すことに成功している。物語の情報開示の仕方は上手い。無理なく、とってつけたような説明調にもならず、自然にひとつひとつ明かされていく感じ。主人公の本体が鏡なので、自分の顔が自分で見えないという設定はおもしろい。主人公の能力が反射で、バトルがどうしても受け身になりがちなのでそこが上手く処理できるとさらによくなるだろう。タニグチリウイチ(書評家)
クールでタフな男と、幸薄い少女との逃避行を描いたハードボイルド小説といった体裁は、男性をメーンにしたティーン層に限らず、女性も含めた一般層の支持も集めそう。持って生まれた異能の力への戸惑い、そして、死ねない自分への恐怖を引きずって生きる主人公の男の姿に、男はかくありたいと憧れ、女は守ってあげたいとほだされる。あるいは男に寄りそう少女の姿に、女は自分を重ねて守って欲しいと願い、男は慈しみを憶える。洋画のようなスタイリッシュなラブシーンと、激しいアクションを思い浮かべて読みたい1冊。工藤淳(「まんが王八王子店」小説担当)
この小説は女性の著者らしい作品だなと感じました。むやみにかっこよく無敵な主人公。その男が少女に頼まれて淡々と解決にあたる。この主人公に女性から見た憧れる虚構のヒーロー像的なものが見えます。男性視点だとこういった主人公はもうちょっとダサい、親父っぽいなどの泥臭いイメージがつくものなので、いわゆるライトノベルのイメージとは若干ズレを感じました。
そこがこの小説のかっこよさを表現している良い要素であり、他のラノベとの差になっている。なかなかこのスタイリッシュ感はだせないとおもいます。