第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『エムピレオ・パラダイム』 石積匠視

 コーラリア国の民間軍事会社に所属し、人型機動兵器ニューラル・エクステンションを駆る長谷部聖悟は、同僚のメルと共に領空侵犯機と交戦。その領空侵犯機に乗っていた少女・リトナは、自分はエムピレオ人であると名乗る。しかし、エムピレオなどという国は存在しないはずで……。

評価コメント

 景色がある。組織がある。社会が、世界がある。そういう手触りを感じさせてくれる本格的なSFファンタジーでした。必要十分な詳しさで描写されるミリタリーや政治・外交関係のディティールや、建設途中で放棄された軌道エレベータ跡地に作られた謎の施設というイマジネーション、そしてそこに隠された目的の壮大さも魅力的でした。本格的なSFファンタジーならではの作り込んだ背景世界であるにも関わらず、中心となるドラマはストレートかつシンプル。そして読みやすく、奥深い。いいバランス感覚の作品です。

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