第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『宮森春姫の「八坂が恋に落ちるまで」』 武田哲春

 美術部所属の少年・八坂はある日、いつも彼をいいように振り回す先輩の美少女ネット小説家・宮森春姫から、「八坂が恋に落ちる瞬間を確かめるために、これから八坂を恋に落とす」と宣言される。しかしここで大きな問題が1つ。八坂はすでに先輩に恋していたのだ! どうしてもそれを伝えられない八坂は、春姫の数々の作戦につき合わされ、ドキドキしまくることになるのだった……。

評価コメント

 登場人物が八坂と春姫の2人というシンプルな作品に仕上げたことが功を奏し、2人の人間性や絆の強さなどが非常によく伝わるエピソードの数々でした。また、台詞の1つ1つがとても印象深いので、そこだけ抜き出しても心に残ります。特に八坂の先輩に向けたAIの台詞の数々は、女殺しの台詞として非常に上手いです。春姫を追いかけた後のたたみかけるような展開もまたすばらしかった。「これでもか」と繰り出す先輩へのダメ押しは、読者の心を盛り上げるのにかなり効果的でした。

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