第2回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『式部らいふ』 代々木上原ゆき

 平安時代の「大作家」紫式部は、死後、一次元世界(文字や文章として、人や生物が存在する世界)で、式部京子と名乗り、小説家として生活していた。この世界では、『源氏物語』以後ヒット作の無い京子は、一発屋よばわりされていた。スランプの原因が恋愛感情の欠如にあると考えた京子は、現世を訪れ、大学生・真崎太市に“恋人ごっこ”をするよう要求するのだった。

評価コメント

 少女コミックのような可愛らしさに溢れた作品です。京子と太市のたわいのない掛け合いとエピソードを繰り返すうちに、2人の心が近づいていく……。その様子がちゃんと描かれていたので、ほっこりと温かい気持ちになりました。京子からは「年上の女性の可愛らしさ」がにじみ出ていたのがとても良かったです。キャラクターの心を読者に伝えるというのは簡単なことではありませんが、これを自然に行えているのが素晴らしいと思いました。

一覧に戻る