第2回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『式部らいふ』 代々木上原ゆき


評価コメント(1)

 紫式部の意表を突くキャラクター設定がおもしろい。読者の先入観をいい意味で裏切る様々な設定が取り込まれていたり、軽妙な言葉のやり取りや言葉遊びが非常に巧みかつリズミカルで、読んでいてまったく飽きませんでした。設定の若干メタフィクション的な部分や、式部のキャラクターの狂騒性の背景にある無感情性(?)という部分までしっかりと踏み込んでいて、それが作品全体の「恋愛感情を取り戻す」と「ごっこ遊び」というテーマがしっかりと噛み合っています。

評価コメント(2)

 まったりとした作品です。ストーリーに大きな起伏のないこうした作風は、キャラクターをどれだけ魅力的に描けるかが大きなポイントになりますが、本作では紫式部こと式部京子のずぼらながらも憎めないキャラクターが魅力的に描かれていました。主人公・太市との会話もテンポよく、ボケとツッコミにちゃんと分かれているのがおもしろい点。一次元人という設定を使えば、まだまだ世界観を広げることが可能であり、他の文豪とのやりとりも読んでみたいと思いました。


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